歯科診療を行っていく上で、無くてはならない装置として、歯科用CTが有ります。医科のCTとはレントゲンの照射方式が違う事から、コンビウムCT(CBCT)と言われる場合も有ります。ここでは、どの様に歯科医療に使われているのかをご説明したいと思います。
歯科用CT(コーンビームCT)とは
歯科用CTは、2010年代より普及し始め、少し古い資料ですが2014年に発表された勝又らの論文では日本における普及率は10%程度としています。2018年現在、もう少し普及しているものと推察されます。
カマボコとゴマ粒で考える、レントゲンとCTの違い
ここにカマボコがあります。この中にゴマ粒がひとつあると思ってください。通常のレントゲンは、このカマボコに強力なライトを当てて、その影絵を壁に映して見ています。
この場合、ゴマが一粒だと良いのですが、ゴマが沢山有った場合は、重なってしまって本来の姿には見えません。
CTの場合は、どうでしょうか。この場合は影絵ではありません。実際に包丁を持ってきて切った部分が見えるのです。おまけに、包丁の方向は1方向では無く、同時にあと2方向にも切ることが出来るのです。
CTは3方向に切った断面を見ることができる、つまり立体としてとらえる事ができるのです。特に一番左の、普通に切ったカマボコの中のゴマを見られるのが歯科医療にとっては画期的なのです。通常の影絵の今までのレントゲンでは前後の歯や頭蓋骨が邪魔をして絶対に見ることができなかった映像だからです。
それでは、実際の例で凄さをお見せします。
症例:35歳 女性
歯茎が腫れたと来院。私の診療所に来る前に、根管治療の専門医を受診。根管治療で治ると言われたそうだ。でも腫れが酷いので当院来院。
通常のレントゲン撮影をしたのが、左の写真。私も、これを見た段階では、冠が上手く外せたら根管治療で治る範囲と判断。でも、腫れが酷い。そこでCT撮影。
CTでは仮想的に左のレントゲン写真を包丁で切って横から眺める事ができます。
これがCT画像です。上図の黄色い線で切った断面を見ています。実際には、約0.2ミリにスライスした断面を見ています。
何と、大きい空洞が見えるではありませんか。ただ、周囲の骨は残っています。だから通常のレントゲンでは影絵ですので、あまり黒くうつらなかったわけです。
見える方向は左の図です。当然CTはどの方向からも見ることができます。この程度の根尖病変でも根管治療で治せる可能性がありますが、治るパーセンテージは自ずと、下がる可能性があります。よって、この画像を見ているのと、見ていないのでは、患者さんへの説明も変わってくるのです。
この様に、色々な方向から見られる事は歯科領域においても革命的な事であります。それでは、このCTはどの様な歯科治療で有用なのでしょうか。
歯科用CTが有用な治療
CTが活躍する主な場面
- インプラントに際して:骨の厚みやインプラントの方向が立体的にわかる。
- 根管治療:上記のような場合。
- 歯周病の治療:骨の減り具合が立体的にわかります。
- 親知らずの抜歯:周囲の神経と接している度合いが立体的にわかります。
- 骨の中の疾患:上下顎の骨の中にある疾患を立体的に理解するため。
- 顎の関節疾患:骨の変形具合を見ます。
- 矯正前の歯の状態:立体的に歯の形を見ておきます。
- 埋伏歯の状態:骨の中に有る歯(埋伏歯)の立体的な位置関係の把握。
本院・アネックス両方にCTを完備
必要不可欠なレントゲン装置です。2011年より歯科用のCTは保険適応されました。CTの費用は3割負担で3500円程度です。小机歯科では、本院、アネックス両方にCTの設置がございます。
この記事の執筆者
久保倉 弘孝(歯科医師・医療法人社団:敬友会理事長)
1986年に小机歯科医院を開設。K.SRCT(久保倉式スーパー根管治療)考案者。ICOI国際インプラント学会指導医(Diplomate)、歯科医師臨床研修 指導歯科医。
※当ページの情報は一般的な歯科知識の提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。お口の気になる症状はかかりつけ歯科医にご相談ください。