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インプラントの長期症例 20年を振り返る

インプラントの長期症例に見る、その意義

 

もしも、インプラントと言う技術がなければ、どうなったんだろう?

そう思う症例をご紹介します。

現在の口の中の状態

 

 

これが現在の口の中のレントゲン写真です。インプラントが8本埋まっています。

 

この患者さんは現在70台の女性です。

インプラントを最初に行ったのは今から22年前です。先ずは、右下の奥歯の欠損部にワンピース型のインプラントを埋めました。そして、その2年後に、左下の奥歯にツーピース型のインプラントを埋めました。

現在でも下顎の奥歯はその当時埋めたインプラントにより、咬み合わせが保持されています。現在でも、何でも咬めるそうです。

上顎は、当院では左側にインプラントを3本埋めていますが、右側の1本は一時的な転居先の地方で埋めたそうです。

よって、70台でも義歯は入っていません。そして食事には全く困っていないとの事です。そして口の中も歯周病の検査をしてみても、BOP(出血点)は全く有りませんでした。

もしも、20数年前に、インプラントと言う治療方法を選択していなかったらどうなったでしょうか?

そもそも20年数年前はインプラントの認知度は非常に低く、歯科大学でもやっと始まった頃だったと記憶しています。(それ以前では日本の歯科大学では、インプラントに対しては総じて否定的で、主に開業医を中心に広まった技術です。)

当院ではインプラントは35年前から行っていましたが、その頃のインプラントは人工サファイアでした。その予後はあまり良くなかった為に、数年間、インプラントから遠ざかっていた時代がありました。

そして、上記のスウェーデンで開発されたチタン製のインプラントが世界的に広まり、日本の企業からも同様な製品が発売されたのが、約25年程度前でした。

そして、その新しいインプラントを取り入れて、10数例目の患者さんがこの方でした。

もしも、この時に、従来通りの入れ歯を入れていたらどうなったでしょうか?

義歯の場合、既存の歯に針金のような部品をひっかけて、入れ歯を保持します。問題は、入れ歯が咬む動作で動くという事です。その動きによる力は既存の歯に直接かかります。つまり歯を揺さぶるのです。これが続くと歯が抜けてしまうことが多いのです。ある研究によると、奥歯が全くない場合に、義歯を前方の歯に針金で維持をすると、2〜3年で義歯を引っかけている歯が失われるとされています。

よって、この方の場合は、20年程度入れ歯を入れていたとなると、相当な数の自分の歯が失われたと考えられるのです。そして、歯が失われる度に義歯の改造や義歯を作り直していたと思われるのです。

そして、義歯は粘膜の上に乗っていますので、インプラントに比べれば、強く咬むことは困難です。つまり硬い肉の様なものは咬みにくく、食生活は不自由になったと思うのです。

 

 

 

 

 

この女性にとっては、費用はかなりかかったと思います。しかし、20年間の食生活は何の不自由もなく、それにより健康には相当寄与したと思えます。

よって、インプラントは、失われた歯の補完にもなりますが、残っている自分の歯を守る事にも大きく寄与します。そして、ひいては自分の健康状態にも間接的に良い影響を与えると思えます。

ただ私としては、現在では残せそうな歯も抜いてしまって、インプラントにする傾向に関しては、決して良いとは思いません。

理事長 久保倉 弘孝

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