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シリコン地獄は過去のもの

シリコン地獄
シリコンと聞くと、一般の方はシリコンバレーを思い出すかも知れません。しかし、歯科医療関係者はシリコンと言えば、シリコン印象材でしょう。これは、歯型を取る型取り材です。
この、シリコン印象材は非常に正確な型取りができます。しかし苦痛を伴う場合も多いのでこのテーマについて書きます。
このシリコン印象材の使い方は、歯を削った後に、シリコン印象材のベースとキャタリストと言う二つを練り合わせてペースト状にします。これを注射器の様な細い管から削った歯のそばに出します。多くは5分くらいで固まり、それを撤去します。
ただ、この注射器からでるシリコン印象材だけではなく、トレーと言う器具に粘土状のシリコン印象材を乗せます。これを、注射器状のシリコン印象材を蒔いた歯の上に圧接する方法を取ります。
つまり、二つの粘度の違うシリコン印象材を使って歯型をとるのです。
このシリコン印象材=型取り材は、硬化時の寸法変化が非常に少ない様に設計されています。更に、数日間、そのまま放置していても寸法変化は殆どありません。よって優れた材料なのです。
しかし、このシリコン印象材の最大の欠点は、患者さんに、苦痛を与える可能性が高いことです。
それは、口の中で硬化したシリコン印象材がのったトレーを撤去するのが非常に大変なのです。つまり、トレー自体を口の中から取り出しにくいのです。
なぜかと言うと、材料自体が硬い事にあります。歯の形態は、歯茎の部分が、ウエストの様にくびれています。更に歯の間には隙間があります。その部分に、シリコン印象材が入り込んで固まってしまうのです。そして、吸盤のように陰圧にもなってしまっているので、トレーと歯の隙間からエアーをシューシューと入れなければなりません。そして、僅かに付与された弾力性を頼りに、力任せに外す必要があるのです。
特に、歯並びが悪かったりすると撤去が困難なことがあり、実際にトレーを口の中で歯を削る道具で削って解体して撤去した事もありました。この時は、本当に患者さんにご迷惑をかけて、今でもその患者間さんを診るたびに申し訳なかったことを思い出すのです。
ですから私は、シリコン地獄と呼んでいます。
ただし、日本の保険診療で普段使われている型取り材は、アルギン酸と寒天を組み合わせた方法です。この方法は、撤去はそれ程難しくはありません。しかし、寸法精度はやや劣ります。そして、放置をしてしまうと寸法変化を起こしてしまうのです。
材料的な正確さは、圧倒的にシリコン印象材です。しかもシリコン印象材は高価なのです。よって、どこの歯科医院でも自費診療のセラミックの際に使われることが多いと思います。
よって、患者さんは、保険診療より高い費用を払って苦痛を味わうことになってしまうのです。大抵の患者さんは、歯が抜けるかと思ったと言われます。
でも、ご安心下さい。
このシリコン地獄は過去のものです。
現在はこのシリコン地獄ではなく、苦痛が一切ない、光学印象と言う方法があるのです。これは、専用のビデオカメラで削った歯の映像や、反対側の歯などの映像を撮影すれば良いだけなのです。型取り材が歯に接触もしませんので、出血の影響も全く受けません。しかも、所要時間は5分程度で済みます。
更に、寸法変化は一切なく、非常に正確です。つまり、デジタルで歯型を作ってしまうのです。ただしこの装置自体が五百万円程度はしますので、それ程は普及していません。
小机歯科医院を含めて敬友会の歯科医院では、8年前からこの方法に切り替えております。
また、マウスピース型の矯正も、この光学印象になっております。
シリコン地獄は、歯科医師も汗だくになってしまいます。その様な事がテクノロジーによって改善されたのは嬉しいことです。

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