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ラバーダム教

当院に来院される方で、熱狂的なラバーダム教の人が見られます。
世の中の歯科医院のホームページをみると、「根管治療のためのラバーダムは最も必要」と書いてあるページが多いからだと思います。しかし、これより重要な事はないのでしょうか?私どもが考えているのは、根管充填の仕方のほうが余程重要だと考えています。つまり、いい加減な根管充填をしていれば、ラバーダムをしても絶対に治らないからです。つまり、ラバーダム自体が歯を治療する訳では無いのです。
ラバーダムというのは、治療する歯だけ他の歯と隔離するゴムの治療器具です。
この目的は、唾液の混入を防ぐことが第一です。唾液の中には当然ながら口腔内細菌が認められます。これが根管内に入らないようにするだけの事です。
当然、根管内に細菌が混入しないほうが良いに決まっているのですが、それでは入ってしまったら終わりなのでしょうか?
そんなことは有りません。
歯が痛くなった段階で根管内に細菌が侵入してしまっているからです。つまり既に細菌に汚染されているのです。さらに、相当長く虫歯を放置してある場合、根管の中には細菌が充満していると言っても過言では有りません。 それらを除菌してしっかりと根の中を詰めれば治るのです。
除菌などは当たり前の話で、問題は根の先の孔をしっかり閉鎖して、生体と隔離することなのです。何故かと言えば、根管内を完全に除菌できかつ、それが持続すれば、根尖孔の閉鎖などはしなくても理論的には問題は有りません。しかし、実際には細菌をゼロにすることは不可能と考えられています。よって、根尖孔を確実に閉鎖する事により、隔離する方法が取られるのです。
そこで問題になるのが、日本で広く行われている側方加圧根充法です。固形のガッタパーチャという物質に糊を付けて詰め込むだけの方法です。この方法では、根尖孔を完全に閉鎖する事はできないので、とっくの昔に欧米の専門医では行わなくなっている方法です。
つまり、ラバーダムをして治療をしても、側方加圧根充をしているなら、先ずは治らないでしょう。そして外科的な処置をせざるを得なくなっているのが日本の現状なのです。外科処置とは、根の先を外科的に露出させて、削ってしまう方法です。
実際問題、ラバーダムを装着できない歯も有ります。崩壊が激しい場合です。その崩壊の部分を修復してからラバーダムを装着できる歯もありますが、そんな事もできない歯もあります。それなら、その歯は抜歯なのか?そんな事はないのです。ラバーダムをしなくても、しっかり垂直加圧根充法で根管充填をすれば治る歯も沢山あります。
ラバーダムはあくまでも、治療における準備段階のもので、もっとも大事なのはそれからの根管内の操作なのです。それも根管充填が一番重要なのです。
根管治療におけるラバーダムの装着は文献的には優位性があるという人がいます。しかし、文献をよく読んでみれば、ラバーダムは予後に関係ないとわかります。
なぜならば、ラバーダムをしてもその後の治療の内容は歯科医師によって大きく違うからです。特に根管充填法です。そちらの要素の方が絶対に予後を左右するからです。
ラバーダム。
150年前あたりから有る技術ですが、これをするかしないかで一番予後が分かれるのは小児のレジン充填です。
もう一度虫歯になる率やレジンの脱落率が大きく異なるのです。

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