初診時 20代女性
あまりエビデンス(証拠)が無い事だが、若い女性の側切歯には何故か、大きい根尖病変を認める事が多い。今回もその様な症例。この方は地元で根管治療を受けるも治らない為に、大学病院で全身麻酔下に嚢胞摘出術を進められた。そこでネットで調べて、当院来院。80%程度は治る予想にスーパー根管治療。治療回数1回。4ヶ月後には、根尖部に骨の再生がみられた。ただ、未だ骨形成の途中なので、続けて観察が必要である。
診療時間 | 月曜日-土曜日
9:30-13:00 / 14:00-18:30
あまりエビデンス(証拠)が無い事だが、若い女性の側切歯には何故か、大きい根尖病変を認める事が多い。今回もその様な症例。この方は地元で根管治療を受けるも治らない為に、大学病院で全身麻酔下に嚢胞摘出術を進められた。そこでネットで調べて、当院来院。80%程度は治る予想にスーパー根管治療。治療回数1回。4ヶ月後には、根尖部に骨の再生がみられた。ただ、未だ骨形成の途中なので、続けて観察が必要である。
頭蓋骨にまるで削って穴を開けたような空洞がみられると思います。その中に尖がって見えるのが歯の根です。どうしてこの様になったかと言うと、根の中の神経(歯髄)が死んでしまい、その影響で骨が溶けてしまったのです。1円玉程度の大きな穴ですが、このまま放置しておくと、鼻の孔までつながってしまったと思います。そしてこの様なケースに歯根端切除を行うと、歯根が短くなるのは当たり前ですし、手術の範囲が大きいために、相当に腫れて痛く、それが1週間程度続いたと思われます。それが、ケースルクト法の場合は、根の中だけの治療です。よって腫れることも無く、痛みもなく、更に骨まで再生できたのです。多分、この方の人生において、相当に良かったと思われます。もしも、歯根端切除を行った場合、前述のように、根の先を切り取ってしまいますので、歯が動きやすくなります。そして外科的に根の先を掻爬しても治る確率は5割程度だと思います。よって治らなかった場合は抜歯です。そうなると、健全な両側の歯を削ってブリッジになったと思われます。そして、ブリッジにした場合、犬歯を削ってしまいますので、大方は10数年でダメになってしまいます。そうなるとインプラントになったと思います。ただ、インプラントと言っても、女性の場合は骨が薄い傾向があるので骨を作る処置が必要になったりして大金がかかったかもしれません。それでいて100%骨が出来る可能性はありません。と言う事で、根管治療だけで、骨が出来てしまった事は、数十年後にあろうトラブルが未然に防げたのです。この方は往復2時間程度かけて来院されましたが、大きなメリットを享受できたと思われます。
10年前に根管治療を受けてあった歯が、年末年始に腫れだし排膿もしてきた。近くの歯科医院を受診し口腔外科で抜歯が必要言われたために来院。
歯科用のCTを撮影すると、右上2番の根尖部から鼻腔にまで及ぶ、広範囲な骨欠損が認められた。また頬側から口蓋側まで貫通する事も確認できた。恐らく歯根嚢胞と思われたが、腫瘍性の疾患も考慮しておく必要がありと思われた。ただ、正直、これだけの大きい鼻腔までに及ぶ骨欠損が根管治療だけで治るかは疑問であり、患者さんにはやってみないと分からないと申し上げた。そしてスーパー根管治療で治癒する確率は5割弱と説明した。
スーパー根管治療は来院1回で終了。半年後の再診によると、症状は全く消失。歯科用のCTによると、骨欠損部の縮小と、欠損部に対して新生骨の産生を認めた。現時点では結果良好であり、今後の骨の変化を観察してゆく必要があると思われた。
根の治療をしてあるのに、根の先が痛く腫れてきた。その様な症例です。レントゲンによると、根の骨が溶けてしまっています。そこに細菌感染を起こしたために腫れてきたのです。その大きさは1円玉程度。これだけ大きくなると、歯科医師は歯根嚢胞と言う病名を付けて根管治療では治癒しないと説明をします。そして治すためには根の先を切り取る歯根端切除か、歯自体を抜歯してしまうしかないと説明をします。しかし、私どものスーパー根管治療ではこの様な歯根嚢胞と思われる症例も治る症例も有ると考えています。ただこれだけ大きいと、治療をしてみて経過を見てみる以外にはありません。その様に説明をしてスーパー根管治療を行いました。スーパー根管治療の回数は1回。半年後のレントゲンによると、溶けてしまった骨の部分の再生が確認できました。また、症状も一切ないそうです。そして、心なしか体調も良くなったそうです。
この様な場合、一般的な治療として抜歯となると、抜歯をしてから骨の溶けた部分をソウハする訳ですが、鼻に繋がっているので、耳鼻科と合同手術が必要になったはずです。しかも手術後はかなり腫れる事は間違いなく入院も1週間程度は必要だったと思います。そして腫れが治っても歯が失われています。しかも骨も無いので、インプラントは難しく、もしインプラントにするとなれば、骨造成を数回必要としたはずです。その様にならなかったのは、この患者さんにとっては、遠くから来た価値は大いに有ったと思います。
5年前に根管治療をした部分が痛い。耳鼻科で根管治療をする様に紹介状を頂いての来院。CTによると、上顎左側の6,7の根尖部付近の間に透過像が見られた。この様なケースの場合、6が原因なのか7が原因なのかがなかなか分かりにくい症例。また、歯根破折の可能性もある。よって、抜歯もあり得る事を説明の上、先ずは原因として可能性が高い7から根管治療を行った症例。5か月後のレントゲンでは6と7の間の透過像はほぼ消失していた。
歯の間に病変が有る場合、どちらの歯が原因かを特定するのがなかなか困難です。また、歯の間には歯根嚢胞と言う袋状の病変は出来にくい傾向があるので、歯の根にヒビが入っているのかもしれないと説明してから治療をしました。まずは、原因として可能性が高い一番奥から治療を開始し、5か月程度の様子を見ました。当然、治療後からは症状は消失したそうです。そして、CTを撮影してみると、歯の間の黒い影はほぼ消失していました。よって、その手前の歯の治療はしなくて良いと判断しました。もう暫く経過をみてまいります。治療にいらしたのは1回です。ただし、1時間半程度はかかっています。
右上の歯の温水痛のために、近くの歯科医院を受診。恐らく歯髄炎の診断の下に抜髄処置を行ったと思われる症例。しかし何回か通った段階で、その医院ではこれ以上の治療は無理と言われたらしい。そして当院受診。CTによると、右上5番の根は近心頬側方向に大きく湾曲。しかし、それを気が付かないで、根管を大きく削ってしまったと思われた。そして、穿孔も認められる可能性があった。この時点でかなりの歯を削って有り、根管治療をしても強度の問題があるのと、穿孔部位を閉鎖して、更に湾曲をした歯根の根尖を閉鎖するのはかなり高度なテクニックが必要なので、抜歯をしてインプラントも選択肢の一つとして提案した。そして、患者さんはインプラントを選択し診療の予約をされた。そしてインプラント当日、どうせ抜くならと、抜歯の前に仮封を外してマイクロで根管内を見てみた。すると、思ったよりも根管内の切削量が少くなかった事等で患者さんに説明。とにかく、根管治療を一回やってみる事を提案。それを受け入れてもらい、インプラントの手術は中止して根管治療に切り替えた。
根管治療をしてみると、やはり穿孔は認められた。しかし何とか根尖も見つける事が出来たので、先に根尖を根管充填。それに続いてMTAセメントで穿孔部分を塞いで処置を修了した。その後、グラスファイバーの土台を立てて築造。そしてプロビジョナルクラウンをCAD/CAM装置にて削り出して装着した。
約半年後に来院。痛みは全くなくなったそうで、CT撮影をした結果、穿孔部を含めて周囲に骨の再生が認めれた。しかし、MTAセメントを使った場合、強度はそれほどアップはしないので、フランスパンの様なぐっと咬むような食品は避けて頂くように指示をしてもう少しの経過観察とした。
熱いモノが染みる場合、歯の中の歯髄という部分を取り除いて治療をする根管治療が必要になる場合が多いです。通常はレントゲンを撮ってだいたいの形を予想し、根管治療を行います。しかし、普通のレントゲンでは根の曲がる方向によっては、曲がっている様に見えない場合があります。そんな場合に真っすぐだと思ってドリルを進めてしまうと、歯の内側から外側に向かって穴をあけてしまう穿孔が起こります。一昔前はこうなると、抜歯しかありませんでした。しかしMTAセメントが10数年前に開発されたから穿孔部を塞ぐことにより歯を抜かなくても済む場合が出てきました。今回の症例は歯を削ってある部分が多かったために根管治療で残せてもその後に折れる可能性が高いとし、抜歯をしてインプラントか、何とか根管治療をするかを選んでもらう事にしました。そして患者さんはインプラントを選択されました。しかし上記のように抜歯の前に根管内を見てみると、レントゲン画像よりは切削量は少なく感じられたので、根管治療を行いました。曲がっている根の先はスーパー根管治療で閉鎖し、穿孔部分はMTAセメントで閉鎖しました。そして半年後のレントゲンによれば骨の再生も認められ予後は良好でした。教訓としては、根管治療はCTの撮影が必要と再確認したと共に、特に単純撮影のレントゲンで根の先がボケている場合はCT撮影は必須と思いました。
この症例は、歯髄が失活しており、周囲の骨の吸収もかなりあったものの、未だ治療が介入されていなかった症例。当院にはこのような症例よりも、歯科医院で根の治療をしたものの一向に治らない症例のように歯科医師の介入があるような症例が多く来院される。その様な場合、歯根の或る部分に穿孔をきたしたり、根が破折している場合も多く、根管治療の適応ではない場合も多い。しかし、この様な段階で来院されて頂くと、かなり骨の吸収や欠損が有ってもケースルクト法により治癒させる事ができる。
歯は一度、削ってしまうと骨のように再生をしてくる事は、現段階においてはありません。(実は歯髄の細胞を培養して入れてあげればそれも可能です)よって、どの様に前の歯科医師が歯を削ったかの影響を受けます。中には、歯の根の中の根管と言う部分に穴を開けてしまってある症例もあります。しかし、この症例の様に、治療の介入がされていない場合は、根の先の骨がかなり溶解していても、ケースルクト法なら骨の再生までできる場合が多いのです。ぜひともこの段階で根管治療を受けに来てほしいのです。
49代 男性
左の奥歯の違和感の為に来院。歯科用CTにより第一大臼歯は明らかに失活をしていた。幸いな事に、未治療であったために、K.SRCT法により治療。根管充填をすると、口蓋根は根尖部付近に二股に分かれていた。この様な根管の場合、側方加圧根充法ではこの二股に分かれている両方に根管充填をする事は先ずは不可能。よって場合によっては違和感が続き、骨の吸収が進んだと思われる。
【簡単説明】
虫歯の治療をしてある場合、歯の中の神経(歯髄と言う組織)が壊死して来る場合があります。普通は、神経が死んでしまった状態です。それではどうしてそうなるのでしょうか?
①以前に虫歯を治した時に非常に深い虫歯だった場合。この様な場合には、なるべく神経を取らない処置をします。ただ、虫歯の細菌の方が優勢で虫歯が更に進行して歯髄が壊死してしまったケース。
②金属等を詰めた隙間から虫歯になってしまったケース
③咬む圧力により、歯にヒビが入りそこから感染してしまった場合。
今回のケースは恐らく①でした。他の歯科医師の治療がされていなかったので、治療はスムーズにK.SRCT法で行われました。特筆するのは、根の中の充填が確実で有る事です。日本で一般的に行われている側方加圧根充法と言う根の中への充填方法は、固形物を入れるだけなので、隙間だらけなのと、今回の様に枝分かれした根管には充填材が入らない部分が多いのです。しかし、K.SRCT法は軟化した充填材を使いますので、枝分かれした根管にも充填材が行き渡るのです。
又、この側枝と言う枝分かれした部分に充填材が入っていないために症状が有る場合には、歯科用CTを撮影してみると、その部分のレントゲンが黒く透過して見える場合があります。つまりそれが原因です。この場合、K.SRCT法で治療をやり直すと症状が消える場合も多々あります。
40代女性
左下犬歯の根尖部の違和感。歯科用CTによると根尖部に大きな骨欠損が見られた。下顎の犬歯部付近にこれだけの根尖病変が見られるのは珍しい。そもそもこの部位の歯が失活する事は稀だからだ。又、皮質骨も厚いために皮質骨までも突き破る様な嚢胞も出来にくいと予想される。治療はK.SRCT法による根管治療を行った。正直、これだけ大きいと治るかどうかは未知数と言えた。約、1年半後のCTによるとかなり縮小傾向が見られた。しかし治癒とは言えない状態である。よって経過観察中である。
【かんたん解説】
この患者さんは比較的ご近所からの来院。結果的には非常にラッキーと思えました。左下の犬歯の根っこの先に大きく骨が溶けてしまった部分が生じてしまいました。原因はこの犬歯の神経が虫歯の治療で死んでしまったからです。しかし、症状も無かった為に歯科医院に行く事もなく、かなり骨が溶けてしまってから気付いたのです。通常は、口腔外科に紹介されて、この部分の嚢胞を摘出します。しかし、大きいので、手術侵襲は相当なものです。つまり、場合によっては入院。しかも腫れます。更に、オトガイ神経が直ぐ隣にあるので、数年間、知覚麻痺をする可能性が考えられました。
しかし、K.SRCTは歯の中だけの治療なので、痛くも痒くもない。しかも腫れない。そして治療は1回で終わりました。1年後のレントゲンでは、かなりの回復が見られました。今後ご来院の際には、治癒が続行しているかCTで確認させてもらう予定です。
40代 男性
交通事故で前歯を強打。右上1が失活。ブラケットを装着してワイヤーを屈曲して固定。同歯の根管治療をK.SRCT法で行いました。最初のデンタルでは、側枝と思われる部分が認められるものの、そこまで根充材が入っていないので、システムBと言う電気的ななヒートプラガーで加熱。そしてコンデンス。無事に側枝まで充填が完了。
【かんたん説明】
歯の根の中の神経と言っても、ヒモの様な物ではなく、枝分かれをした木のような場合もあります。その症例です。この様な症例はこの側枝という部分まで充填をしておかないと、後で化膿してくる場合も多々あります。日本で一般的に行われている側方加圧根充ではこの様な側枝にまで充填をする事は不可能です。よって治らないケースが多いのです。そして、膿んできた場合は、根の先を外科的に切除する歯根端切除術が採用されてしまいます。このケースは根管内で充填材を加熱できるヒートプラガーと言う装置を使って軟化させて側枝まで、根管充填をする事ができました。
50代 男性
左上の歯の調子が悪い。CTによると、上顎第一大臼歯の根尖部全てに嚢胞状の透過像が認められた。スーパー根管治療を行った。来院3回。半年後にCTによると、遠心頬側根、口蓋根の2根には透過像が消えて骨の添加も見られた。しかし、近心頬側根だけは、現状では見られない。現在、経過を見ているが、この根だけが歯根破折か歯根にヒビが入っている可能性が示唆されている。
【かんたん説明】
スーパー根管治療は、根尖部にレントゲンの不透過像が認められた場合でも、かなりの高確率で治ります。統計的には8割以上の治癒率です。しかし、どうしても治癒してない場合があります。私が思うには難治性の細菌や真菌(カビ)の存在が原因ではなく、やはり歯根にヒビが入っている様な場合が多いと思います。この症例はまだ、半年ですので経過を見てまいります。そして治らない場合は、外科的に開けて見て診断をするつもりです。
40代女性 東京都から来院
近くの歯科医院で左上の小臼歯の治療をして仮歯を被せてから、内側が腫れて咬めない。
実際に診察をしてみると、ほぼグラグラな状態。根管内の不具合でここまで炎症が起きているとは思えませんでした。特に口蓋側の腫れが酷いのが特徴でした。通常はこの部位は外側(頬側)が腫れるのが普通なのです。
ひょっとして歯が折れているかと予想しました。しかし仮歯を外してみると、歯は折れている感じもありませんでした。ケースルクト法により、根管治療を行いました。治療回数2回。
3か月後に来院された時には、あれほどグラグラだった歯が嘘のように動かなくなって、咬めるようになったために、セラミックで被せました。
8か月後に歯科用CTで骨の回復を観察。すると口蓋側が腫れた理由がはっきり分かりました。ケースルクト法により口蓋側に有った、根管に充填剤がはっきりと充填されているのが確認されたからです。つまり、この根管内の細菌が口蓋側に腫れを生じさせていたと思われます。この様な側枝は、日本で一般的に行われている側方加圧根充法では詰める事が困難です。よって当院に来ていなければ抜歯になっていたと思われました。