ORAL MUCOSAL DISEASES

口の中の粘膜の病気

口の中の粘膜には、口内炎やカンジダのような身近なものから、全身の病気のサインとして現れるものまで、さまざまな病変が生じます。難治性の潰瘍やびらんなど、お口の粘膜の気になる症状は、口腔外科の視点から診させていただきます。

口の中の粘膜には、ありふれた口内炎やカビ(カンジダ)による病変のほか、伝染性単核球症・梅毒・AIDSといった全身の感染症のサインとして現れる病変もあります。以下は、ある医大の耳鼻咽喉科教授による講演会の内容をもとに、口腔粘膜に現れる病気について理事長・久保倉がまとめたものです。難治性の口腔潰瘍やびらんなど、気になる症状がある場合は、放置せずにご相談ください。

口の中の粘膜の病気

公開日:2020年1月6日/最終更新日:2024年2月16日

口の中の粘膜には、口内炎やカンジダ症のように比較的身近なものから、全身の感染症のサインとして現れるものまで、さまざまな病気が生じます。以下は、当院理事長・久保倉が参加した講演会の記録をもとに、口腔粘膜に現れる代表的な病気をまとめたものです。

1996/3/13 某医大、耳鼻咽喉科教授による講演会より

伝染性単核球症 Infectious mononucleosis

EBウィルスによる感染症で、大人に発症すると「口腔内のびらん(erosion)がひどく、通常の抗生物質に対して反応しにくく、ミノサイクリンに反応する」とされます。リンパ球の増多が見られますが、数回検査しないと補足できないこともあります。アメリカでは Kissing disease とも呼ばれ、STD(性感染症)の一種とされています。ポールバンネル反応は、日本人の場合は陰性のことが多いとされています。

追補

このウイルスに感染すると、後遺症として慢性的な疲労を訴える方がいるそうです。2020年の新型コロナにも、このような症状があるといわれています。

梅毒 Syphilis

今どきは、口腔内に梅毒の硬結を認めることは少なくなりました。それは抗生物質によく反応して「口腔周囲の潰瘍等はすぐに消失してしまう」ためです。一方で陰部等の潰瘍はなかなか治らず、他人に移してしまうことが多いとされています。しかし、難治性の口腔潰瘍等は、悪性腫瘍のようでなければ、梅毒を疑ってみる必要があります。

この先生の外来には、16歳の女子高生で口唇の潰瘍が治らないため母親と一緒に来院した患者で、よく調べてみると梅毒であった症例や、26歳のOLで咽頭部の潰瘍を主訴に来院した患者で、よく調べてみると梅毒であった症例がありました。後者はどこで感染してきたか聞いたところ、日本での性的接触はなく、旅行で行った東南アジアでビーチボーイと一度、性交を行ったことによる感染と判明したそうです。また、27歳の銀行員でソープランドで梅毒になってきた症例も報告されました。

そこでこの先生は、乱れた現代社会ではよく考えて行動しなければならないし、教育の必要性があると訴えていました。なお、治りますが、梅毒は一度かかると血液検査でTPHA値が一生0の値にならず、要するに梅毒の前科がついてしまうそうです。

TPHA値について

このTPHA値は特殊な検査でも何でもなく、何か手術をする際には、必ずと言って良いほど検査すると思っていてください。

AIDS Acquired Immune Deficiency Syndrome

リンパ節の腫脹を繰り返し、体重減少やヘルペス性口唇炎等をよく生じる場合は、「この疾患を疑ってみる必要あり」とされます。CD4が500以下くらいになってくると発症し、口腔内にカンジダ症が現れるようになります。そのカンジダは口腔内から消化管まで続く場合も多く、そうなると End stage(末期)が近いとされます。

この先生がタイ国北部に視察に行ったところ、病院ではこの病気の人が多く、毎日のように亡くなっているのが現状だそうです。これは私見ですが、日本でも病院関係者に聞きますと、この病気の方もいるそうなので、国民の皆さんに常々、啓蒙と教育をしていく必要があると思いました(今は何か、もう忘れられた存在になっている気がします)。

その他の身近な粘膜の病気

この他にも、日常的に見られる口内炎、真菌(カビ)によるカンジダ、原因がよく分からない扁平苔癬等があります。お口の粘膜の異常は、こうした身近なものから全身の病気のサインまで幅広いため、長く治らない・繰り返すといった場合は早めにご相談ください。

講演会を通じて感じたこと

ほかにも色々なお話がありましたが、女子高生が梅毒という事実には、あきれてしまうと共に、これではエイズが広がるのも時間の問題だと思いました。エイズに対する治療法の開発は急務であることは言うまでもありませんが、もう少し社会全体、地球規模で考え対策をとらないと、人類は滅亡するのではないかと、暗い気持ちになりました。

なお、2021年現在、HIVの治療は急速に進み、エイズの発症はかなり抑えられるそうです。そして早期発見・早期治療が大切とのことですが、ならないに越したことはないですね。

お口の粘膜の気になる症状はご相談ください

なかなか治らない口内炎や潰瘍、びらん、白い病変など、口腔粘膜の異常は全身の病気のサインであることもあります。気になる症状がある場合は、放置せず一度ご相談ください。

この記事の執筆者

久保倉 弘孝(歯科医師・医療法人社団 敬友会 理事長)
1986年に小机歯科医院を開設。K.SRCT(久保倉式スーパー根管治療)考案者。ICOI国際インプラント学会指導医(Diplomate)、歯科医師臨床研修 指導歯科医。

※当ページの情報は一般的な歯科知識の提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。お口の気になる症状は、かかりつけ歯科医にご相談ください。

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