虫歯予防の先進国であるスウェーデンのイエテボリ大学と言えば、歯科医ならば知らない人は居ない程有名です。そこの病院で行なわれている歯磨き法をご紹介します(同大学の予防歯科の教授の講演会より)。
イエテボリ式歯磨きの4つのポイント
イエテボリ大学の病院で実践されている歯磨き法は、次の4つのポイントに集約されます。
- 歯磨き材は2センチたっぷりつける
- 2分間磨く
- うがいは10ミリリットルの水で行なう
- 歯磨き後2時間は飲み食いしない
この方法のねらい
4つのポイントに共通しているのは、いずれもフッ素を口の中にできるだけ長く残すための工夫だということです。たっぷり付け、少しだけうがいをし、磨いた後しばらく飲み食いしないことで、フッ素による虫歯予防効果を最大限に引き出します。
なぜたっぷり付けて、うがいを少なくするのか
歯科医院での歯磨き指導で、歯磨き材(歯磨き粉)は歯ブラシにちょっとだけ付けて、あるいは付けないで、と言われた事が有るかと思いますが、それはちょっと時代遅れの指導法です。
イエテボリ大学では何故、2センチも付ける様に指導されているかと言いますと、ズバリ、フッ素の効用を期待しているからです。フッ素は子供の虫歯予防と思われがちですが、大人にも、特に中年以降にはとても効果が有ります。
そして、10ミリリットルの水は結構少ないです。つまり、あまりうがいしないと言う事です。これもフッ素の成分を口の中に残す為です。2時間は飲み食いしないのも、フッ素の効果を長続きさせるためです。昼、仕事で会社等に居る時は、2分間も磨かなくて良いから、とにかく歯磨き材を口の中に叩きこめと言う事です。
大人の虫歯「根面カリエス」とフッ素
人間も年をとってくると、誰でも、歯茎が下がって、根っこの部分が出てきます。ここの部分は、pH6.2でも溶けてしまう位、虫歯菌が作る酸に弱いのです。(ちなみに、歯の頭の部分のエナメル質はpH5.8で溶けだします。)
つまり、中年以降になりますと、若い人と違って、歯茎との傍に虫歯が出来やすくなるのです。これを根面カリエスと言ってます。この根面カリエスを予防するには、フッ素が最も効果的です。その為には、成人ならばフッ素入りの歯磨き材を2センチはつける必要があるそうです。
歯が溶け出すpHの目安
- 歯の頭の部分(エナメル質):pH5.8で溶けだす
- 歯茎が下がって露出した根の部分:pH6.2で溶けてしまう
根の部分はエナメル質より酸に弱いため、中年以降は根面カリエスへの対策がより重要になります。
歯磨き剤の選び方
フッ素は歯磨き材に添加するには2種類あります。フッ化ナトリウムとモノフルオロリン酸ナトリウムです。歯磨き材には必ず成分表示がありますので、このどちらかが表示されているものを使いましょう。どちらかと言えば、フッ化ナトリウムの方が優秀です。私が調べた限りでは、歯槽膿漏用とかの値段の高い歯磨き材には、フッ素が入っているものが少ないです。なお、2021年現在では9割がたの歯磨き材には何らかのフッ素が配合されている様です。
又、あまりうがいしない訳ですから、あまり後味の悪い歯磨き材はお勧めできません。からすぎたり、泡が立ちすぎるのも不適当です。
おすすめの歯磨き剤
一番良いのは、歯科医院専売のライオン製のチェックアップと言う歯磨き材です。ほとんど無味、低発泡。20年経ってもこれはベストセラーです。
予防歯科のご相談はお気軽に
イエテボリ式歯磨きやフッ素を使った虫歯予防、ご自身に合った歯磨き剤の選び方など、予防歯科に関するご相談を承っております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
記入:2001/11/15 改定:2021/12/14
この記事の執筆者:久保倉 弘孝(歯科医師・医療法人社団 敬友会 理事長)