- 治療について - エクソソーム
エクソソーム
エクソソーム点滴
このところ歯科の分野でも、アンチエイジングとしてエクソソームという物質が自由診療として使われ始めています。主に美容目的です。
この物質は細胞培養から取り出されます。よって、再生医療で細胞などに係っている立場から一筆書きます。
小机歯科医院では、再生医療等安全性確保法による第二種再生医療において、歯髄再生治療を届け出ています。そして許可をもらっています。
この第二種再生医療の歯髄再生という治療においては、同一の患者さんの細胞しか使えません。つまり、自分の口の中にある、親知らずなどの、不要な歯を抜歯をして、細胞加工施設に送って歯髄幹細胞の採取と培養を行ってもらいます。
そして、使う場合も細胞加工施設で数々の試験をした細胞を使います。また、使用する際にも温度管理も非常に厳重に行われる必要があります。
また、再生医療を行うには、学識経験者らが構成する再生医療委員会に所属している必要があり、有事の場合の報告や定例報告が義務付けられています。、
それは、感染の問題や、未知の物質による患者さんへの被害を防ぐ必要があるからです。本人の細胞を使ってもこの様に厳重に管理をされています。
ところで、このアンチエイジング用のエクソソーム。細胞上清液を使うとされています。これは細胞を培養して増やした段階の溶液を遠心分離して、上澄みだけを用いるのです。その中にエクソソームと言う細胞よりもっと小さい物質等が含まれるそうです。
問題は、その細胞上清液の出どころと成分です。
誰の、どこの細胞を培養した際の上清液なのでしょうか?。自分の細胞を採取して来ない限り、絶対に他人の細胞を使っています。そして誰がどのように管理し作成したのでしょうか。現時点では、それを明示する必要は法的な規制が無いのです。
背景にあるのは、再生医療等安全性確保法が成立した10年程度前の段階では、今の様なエクソソームの使われ方がまだされていなかった事。そして法制定から法改正がされていないので、現在でもエクソソームは細胞ではなく、細胞断片として扱われているからです。つまり、細胞そのものを扱う場合は、厳重に法的な管理がありますが、細胞断片は野放しなのです。
厚生労働省のホームページに日本再生医療学会の見解が掲載されている事を見ると、近い未来に何らかの手が打たれると思います。
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001165575.pdf
しかし、2024/07/31に厚生労働省から出た文章によれば、医師、歯科医師が個人的に注意せよとだけ書いてあります。よって法改正は未だ先なので厚生労働省も注意喚起をしたのだと思います。
エクソソームを含む化粧品を健康な皮膚に塗る程度なら健康被害は無いと思いますが、上清液を点滴するような事は、再生医療に取り組む歯科医師からすれば、百害あって一利なしだと思います。
何処の国の、誰のどこの細胞を培養したのか分からない。どの様に管理されたのかも分からない。しかも何が入っているのかわからない液体を自分の体に点滴しない方が良いのは明白です。
当然、国が管理している薬剤ではありません。よって重大な副作用が出ても、国の救済制度は受けられません。点滴を了承した自己責任になります。
もし、どうしてもしたいなら、自分の親知らずや、脂肪組織などから細胞を採取します。そして信用のある、細胞培養ならびに加工施設で作ってもらった自分の幹細胞を培養した上清液にするべきでしょう。
記載:理事長 久保倉弘孝