40代 女性
笑った時に鼻の下を触ると違和感がある。デンタルレントゲンやCBCTにて、右上側切歯に円形のレントゲン透過像を認めた。K.SRCTにて2回治療。1年後のCBCTでは完全なる骨の再生が確認された。治療の過程を見れば、この違和感の原因は、根管充填がたった、1ミリ程度、年の先まで充填されていなかった事による。当然ながら、歯根端切除術の様な外科処置はしていない。
診療時間 | 月曜日-土曜日
9:30-13:00 / 14:00-18:30
笑った時に鼻の下を触ると違和感がある。デンタルレントゲンやCBCTにて、右上側切歯に円形のレントゲン透過像を認めた。K.SRCTにて2回治療。1年後のCBCTでは完全なる骨の再生が確認された。治療の過程を見れば、この違和感の原因は、根管充填がたった、1ミリ程度、年の先まで充填されていなかった事による。当然ながら、歯根端切除術の様な外科処置はしていない。
歯は骨の中に埋まっています。この下のレントゲン写真は歯を真横から見た写真です。通常のレントゲンではこの方向のレントゲン写真は隣の歯が邪魔をして撮影する事は絶対にできません。それではどうして可能になったかと言えば、コンピュータで合成したからです。これをCTと言います。コンピューテッド、トモグラフィー。
そして、通常、歯を真横から見た場合は、歯の根の周囲は骨に囲まれています。ところが、歯の中の神経(歯髄)が壊死してしまったりした場合は、根の先に相当する部分の骨が溶けてしまうような場合があるのです。このCT写真は、まさにそのその状態なのです。骨があった部分には、柔らかい歯肉の様な組織に置換してしまっています。この状態をケースルクト法根管治療を行った結果、骨が再生したのです。通常の歯科医療ではこの様な大きく骨が溶けている場合には、根の先を外科的に切除、除去してしまう外科的根管治療を行う場合が多いです。しかしケースルクト法根管治療ではその様な外科治療を回避できる場合が多いのです。
骨が無くなった原因と、再生した理由は下のレントゲンを見ればわかりまう。根の先のわずかな隙間を人間の体は嫌ったのです。
他の歯科医院にずっと右下の根の治療に通っているが、痛いだけで一向に治らないので来院。根管の中をマイクロスコープで見て仰天。ピーソーリーマーの様な器具を使ったと思われる、根管内の削り過ぎであった。更に、根の先の孔(根穿孔)は#100番程度まで拡大。つまり1ミリまで大きくあけられ、根尖の構造が破壊されている状態だった。そして、3つの根管全てがその様な状態だった。ダメ元でK,SRCTによる根管充填を行った。その後、暫く来院されていなかったが、別件で9年目に診る機会が有った。根尖周囲の治癒は問題なく、更に削り過ぎで有った根管が破折する事無く、9年間に渡って毎日の食事の役に立っていたのは歯科医師として大いなる喜であった。この写真はCBCTではなく、オルソパントモグラフ。
歯の根の先には根尖孔と言う孔が開いていて、そこから血管や神経が入っています。これは必ずです。根の治療に当たっては、この根尖孔を閉鎖します。その際にある程度まではその孔を広げる事をします。ただ、この孔をどこまで広げて良いかという通説がないのです。しかも、根の治療が上手くいかたない場合に、とにかく、この根尖孔を一層削り取って広げてしまうと言う、誤った考えをもっている歯科医師も存在します。通常の0.1から0.2ミリ程度の孔です。通常は大きく拡大しても0.3ミリのところを1ミリまで孔を広げてしまうのです。こうなると、0.2ミリの根尖孔が5倍の1ミリになると、面積としては25倍になってしまいます。そうなるとどうなるか、ワインのコルク栓を想像して下さい。ワインの瓶とは逆なのですが、コルク栓を瓶の中からする様な事だと考えてください。ワインの瓶の口を広げすぎてしまった場合、ワインのコルクが密着しないのと同じです。当然、コルク栓を太くする事を考えますが、場合によっては、コルクがすっぽ抜けてしまう事も考えられるのです。これと同じことが根管治療にも言えるのです。根尖孔を拡大しすぎてしまうと、しっかりした根尖孔の閉鎖がしにくくなるのです。そして、この症例のように奥歯の場合、根尖孔を有する根管は3~4本あります。この症例では、3つの根管全てが、前に治療した歯科医師によって1ミリ程度に広げられてしまっていました。ここまで広げてしまうと、根の先の部分に細菌感染を起こし、いつまでたっても治療が終わらない、つまり痛みが続く状態になります。ケースルクト法根管治療では、この様な場合にも、根の先を緊密に閉鎖をする事をします。ただし、やはり1ミリとなると心配であった症例なのです。しかし9年経過しても全く問題がなかったのです。日本で一般的に行われている側方加圧根充は細い固形のガッターパーチャを詰め込みます、そもそも1ミリ程度に根の先を拡大してしまうと、全てすっぽ抜けて骨の中に刺さり込みます。よって治りません。しかしK.SRCTは熱と薬剤で軟化したガッターパーチャで根の先を塞ぎますので、閉鎖が出来て治るのです。だから9年しても何ともないのです。
右上の前歯に違和感がある。レントゲンによると、根の先端に大きな透過像を認めた。歯の中の歯髄がいつの間にか壊死をしてその感染の影響で根の先の骨が吸収しているだ。ただ、この歯は根管治療を他の医院で受けていない。この様な症例は、ほぼ100%に近い数値で骨再生が確信できる症例だ。回数は1回で充分である。ただ、この様な症例で歯科医院を受診して運悪く、歯科大学の口腔外科に紹介されると、ほぼ歯根の先端をちょん切られる歯根端切除術になる可能性が高い。更に運が悪いと、術後に歯根嚢胞が生じて抜歯になる事が多い。歯科医は、かかる所を間違えるとトンデモナイ事になります。ただ、この患者さんにしてみれば、1回の来院で治ってしまっているので、あまり有難みは感じないでしょう。
根の治療を根管治療(コンカンチリョウ)と呼びます。この根管治療を行わなければならない歯は、歯の中にある神経(歯髄)がばい菌の感染等で腐ってしまった場合に行います。歯はお饅頭の様なもので、アンコにあたる部分が神経です。ただ、お饅頭との違いは、皮にあたる部分に小さい穴があいている事です。歯の場合、それが根の先にあります。そこからばい菌が漏れ出すと、骨を溶かしてしまう事が多いのです。それがこのレントゲン写真です。向かって左の歯の根の先が黒く見える(赤丸の中)部分が骨が溶けています。ケースルクト法根管治にて、1回で治療は終了。1年3ヶ月後のレントゲンが右側。歯の中の白い部分はレントゲンに映る充填材。そして黄色丸の部分が黒色から灰色に変化しているのがおわかり頂けると思います。骨が再生したのです。骨が再生するのかは約束はできませんが、この様な場合、かなりの確率で骨は再生します。歯の根の先をちょん切ってしまう、歯根端切除術を行わなければならない可能性は極めて低いです。ケースルクト法根管治療の所要時間は30分程度。当然、外科的な治療ではありませんので、傷が付くわけではありませんので、歯根端手術後の痛みに比べれば、痛みは殆ど無いと言えます。又、歯根端切除術の場合は歯の根を短くしてしまうので、力学的に弱くなってしまいます。ケースルクト法根管治療ではその様な事はございません。
右側の頬がパンパンに腫れて、歯茎から大量の膿がが出た症例。つまり凄い感染を起こして来院した症例。現代においては、あまりお見掛けしない症例。通常はこれだけ激しい感染を起こした場合、炎症が治まった場合に抜歯される事が多い。しかし、ケースルクト法根管治療で治療をしてみた症例。術後7年後のレントゲンによっても、根の先に問題は全くない。そして更に2年経った現在でも、問題なく咬めている。遠くから通ってくる人だが、その価値が有ったと思える症例。他医院だったら、恐らく抜歯となり両脇の歯を削られてブリッジになっていたと思う。そして9年後の現在ではブリッジ毎動いて、ブリッジの土台の2本も抜く羽目になったと予想される。そして、提案されるのはインプラント3本だろう。行く歯医者によって将来の経済的な負担も相当に違うのである。患者さんには歯医者の上手い下手はわからないのが、困ったところだ。
少なくとも、根管治療(根の治療)で毎週、根の中の消毒と言って毎週3か月も通わせる様な歯科医院が多い。はっきり言って歯科医師自身、ゴールが見えていないのでしょう。
歯が原因で顔が腫れる。今はあまりお見掛けしなくなりました。でも、たまにはいらっしゃいます。歯の根の中でばい菌が沢山増殖してしまった場合に、体力が弱っていたりすると膿みを持ちパンパンに腫れる事があります。この様な腫れの原因になった歯については、腫れが引いた後に抜歯とされる場合があります。しかし、そんな事はありません。しっかりと根管治療を行えば、例え大きく晴れたとしても、それだけで抜く様な事にはならない事を表している症例です。この方は、右下顎がパンパンに腫れていました。そして原因となった歯は結構グラグラと動きました。最初はその動きからすると抜歯が相当かと考えましたが、根管治療をお粉しました。9年経過した現在でも問題なく使えています。
根の治療は、神経(歯随)が有った部分を洗浄・消毒してその神経が有った部分に充填材を詰め込んで根の先の孔に蓋をしてしまいます。黄色い矢印の所が根尖孔。そして歯の中の白い部分が充填材が入った部分です。充填材はレントゲンに映るように造影剤が配合されています。要は根の先に蓋をする必要があります。しかし、毎日、来院されてくる患者さんのレントゲン写真をみていると、根の先まできっちりと蓋がされている歯は殆どありません。諸外国と比べて余りにも低い診療報酬も大きく関係しているとは思いますが、それだけではないのです。日本での根の先に蓋をする方法である側法加圧根充では殆どきっちりした蓋はできないのです。ケースルクト法根管治療では、黄色い矢印の様に根の先にパッドと言う造営された部分を作ります。これが根の先にぴったりと蓋が出来な証拠になるのです。
歯の根の先に根先孔と言う歯の中に血管や神経を送り込む孔があります。根管治療はここの孔を塞ぎます。歯科業界では、この塞ぐ位置に関して、結構論議があります。孔を塞ぐ充填材が根尖孔より出て良いのか、その手前の方が良いか?ケースルクト法根管治療では、しっかり孔の閉鎖をすべきと考えていますので、多少の充填材の根尖孔外への飛び出しを認めています。これをパッドと呼んでいます。それではこのパッドはどうなって行くかを示したレントゲン写真です。結果として、少しづつ生体に吸収されてきます。この症例の様に、上顎洞粘膜と言う副鼻腔の近くですと、その速度は速い様です。黄色い矢印の部分の白い塊が5年後には小さくなっているのがわかります。
上記の症例と同じく、根尖孔を塞いだ充填材の経年変化を見たレントゲンです。骨の窩の場合はその充填材は9年経ってもあまり変化が無いのがわかります。そして、充填材の周囲が黒くなってきていない事は、全く炎症を起こしていない事を意味します。
近所の歯科医院で1年前に右上2番の根治。最近その歯が頻繁に痛むようになり、前医に治療するなら根の先を切り取る、歯根端切除か抜歯と言われた。右上2番根尖相当部触るとぶよぶよするとの訴えがあった。
古い充填材を除去すると膿が湧出してきた。根尖は大きく拡大されていた。ケースルクト法根管治療。半年後のCBCTでは、根尖部の骨の改善がみら、根尖部の違和感も消失していた。
この症例は、根尖孔と言う根の先の孔を前医にて大きく広げすぎてしまった症例。現在の日本の教育では、こんなに大きく根の先の孔を拡大はするなと教育されているはず。しかし、根管内の象牙質は、一層機械的に削り取ると言う概念がある為に、根の先も大きく削り取ってしまっている歯科医師が存在する。この様に1ミリ程度に広げてしまい、感染が起こると、日本で通常に行われている側方加圧根充法では、根の先にきっちりとした蓋をする事は困難となり、抜歯を宣告される事に成る。歯根端切除と言う根の先を切り取る方法もあるが、本症例の様に、元々、長短い歯の歯根端切除を行うと歯冠と歯根の比が悪くなり、結局は動揺をきたしてて抜歯になる。
この方にとっては、ケースルクト法根管治療で抜歯を回避できた事は、人生においてかなりのプラスになってのではなかろうかと思う。
歯医者の怖さを物語る症例。1年前に近所の歯科医院で前歯の根管治療を受けたそうだ。しかし、その語、頻繁に痛むようになってしまって、再度来院したら抜歯と言われた症例。診察の結果、根尖孔と言う根の先の孔を1ミリ程度に広げてしまったのです。そこに細菌感染を来してしまって、根の先の骨まで溶けてしまった症例です。幸い、ケースルクト法根管治療により、この歯は助ける事ができました。この歯を抜歯してしまうと、隣の歯を削ってブリッジにするかインプラントにするか、入れ歯でもいれるしかなくなります。その様な事をしなくても治ったのはこの患者さんにとってはとても良かったと思います。最初の処置が適正ならば、こうはならなかったと思えます。根の先の孔は壊してはならないのです。
右下の犬歯の歯肉の腫れのために来院。CBCT(歯科用CT)により犬歯の周辺には透過像が見られた。歯周ポケットも5ミリで歯肉出血も認めた。歯周病の治療に先立ち、ケースルクト法根管治療を行った。治療回数2回。半年後には、犬歯の周囲の骨も改善し、歯周ポケットも2ミリとなった。歯周病なのか、根管内の歯髄の壊死による病変なのかの鑑別に苦慮する症例だが、この様な場合は、歯髄の壊死が認められたら、速やかに根管治療を行うべきだと言う示唆を与えてくれた症例。尚、歯周病に対する外科処置も一切行っていない。
下の図は、CBCT(歯科用CT)から合成されたボリュームレンダリング画像。犬歯の外側の骨が再生しているのが良くお分かりいただけると思う。
この下の図は、レントゲン画像を元に合成した画像です。赤い丸は右下の犬歯を表します。歯の周りには通常は骨がありますが、前面の骨が下がってしまっているのが向かって左側の図です。この様な場合、歯槽膿漏の影響も考えられます。しかし、この犬歯の神経(歯随)も虫歯等によって死んでしまっていました。その治療であるケースルクト法根管治療を先ず行いました。すると、右の黄色い丸の中の様に歯を囲む骨の高さが回復してきました。歯肉を剥がしての歯槽膿漏の治療は行っておりません。
右上で咬むと痛いので来意。第一大臼歯を叩くとやや疼痛があった。普通のレントゲンでは異常なんだか正常なんだかは分からない。なぜならば、周囲の映像がダブって見えてしまうからだ。そこでCBCT(歯科用CT)を撮影。すると、第一大臼歯の根の先にあたる、上顎洞の粘膜が相当に厚くなっていた。歯科用のCTは柔らかい組織は写りにく設定なのだが、これだけ写ると言う事は相当に腫れているのだ。この様な上顎洞粘膜が腫れている場合、眼の下が痛いや頬のあたりがいつも重ぐるしいと言う方もいらっしゃる。この方も少しながらその様な症状があった。この上顎洞粘膜の腫れは、第一大臼歯の歯髄(神経)が壊死をしてしまい、その影響が副鼻腔に及んでいるのだ。治療はケースルクト法根管治療を3回。3か月後には、上顎洞粘膜の腫れは一切無くなった。当然、咬んで痛いような症状は一切ない。人間の体は、炎症が有れば腫れ、炎症が無くなれば、さっと治る。正直なのである。
上の奥歯の根の上は上顎洞と言う副鼻腔があります。その直下の歯の神経(歯随)が虫歯等で壊死をしてしまうと、上顎洞に影響をあたえます。向かって左側の赤丸の中の矢印は、その上顎洞の中の粘膜が腫れているところです。灰色の部分は炎症を起こして腫れた粘膜です。この場合、歯は咬むと痛いですが、それに加えて眼の下が痛かったり、なんとなく鈍痛が有ったりします。ケースルクト法根管治療の結果、右の黄色い丸の中の矢印の様に灰色の部分は無くなりました。当然、症状はなくなりました。