歯科にかかって嫌なのは、あのキーンとする音で削られるのと
麻酔をする時の痛みがあると思います。
その麻酔も打ち方一つでかなり痛みが違うものです。
敬友会の歯科医院では、麻酔が痛くないとよく言われます。
40歳以上の方々は、麻酔はかなり痛いという印象をお持ちだと思います。それは恐らく古い教育を受けている歯科医師による麻酔だからだと思います。以前の教育では、麻酔の最初は歯のそばに打つように教わっていました。ここは角化歯肉という、骨にしっかり付着している歯肉です。ここに最初から針を刺して麻酔薬剤を注入すれば、激痛であることは間違いありません。
現在では、この様な部分に最初から麻酔の針を刺す様なことはしていません。歯からかなり遠い、歯槽粘膜という頬の粘膜を引っ張れば動くような部分に最初の麻酔の針を刺します。しかもほんの少ししか刺しません。更に薬剤もごく少量だけ粘膜下に注入します。それから少し待ってから歯に近い部分に麻酔を移動させてきます。
よって、当院では、「チクッとします」とは言いません。チクッとしないからです。頬っぺたを引っ張られている感覚しかありません。
具体的な方法
注射の針
極細の33ゲージを使用します。当然、使い捨ての針です。
注射する前の準備
以前は表面麻酔剤を使っていましたが、主な表面麻酔剤の成分である「ベンゾカイン」に対してアナフィラキシーショックを起こした例が報告されています。よって現在では使用をしていません。しかし表面麻酔剤をしなくても、痛みはございません。
注射する場所
最初は歯から遠い場所の軟らかい粘膜に打ちます。そして数十秒から一分程度待ちます。それから徐々にある程度の時間をかけて歯に近い部分に麻酔をしてまいります。
注射する時
注射器を持っていない方の手にガーゼを持ち、粘膜を強くひっぱり太鼓の皮の様にピーンと張らせた部分に針を刺します。これが最も重要です。そして見える部位ならマイクロスコープで針先を見ながら針先が少しだけ入ったのを確認して薬液を注入します。また、できれば針を粘膜に指すのではなく、粘膜を針の方に近づける様にします。
注射をする速度
33ゲージの注射針は内空が狭い為にそんなに早い注入は出来ませんが、1滴1秒位にします。
痛い麻酔の場合
最初から歯肉の傍に針をグサッと刺して、手動の注射器で満身の力を込めてアッと言う間に注射する方法です。この麻酔の仕方ですと、この歯科医院には二度と行きたくないと思うことは間違いなしです。